「コロナで学校が休校になった?」
「分散登校やオンライン授業って、これからいったいどうなっちゃうの?」
コロナ禍においては、子どもたちの学びも大きく変化しています。
学校のあり方そのものが大きく変化しています。
子どもたちも不安定な中で登校しなければなりませんし、急な対応を余儀なくされた先生たちも日々試行錯誤を繰り返しています。
この記事は、現役小学校教員の助言を受けて作成しています。
コロナ禍における学校生活全般
コロナ禍では、学校生活で様々な変化が起こりました。
場面に分けて説明していきます。
分散登校とオンライン登校
コロナ禍で、一番大きな変化と言えば、そもそも学校に行かずに授業を受けるという選択肢ができたことでしょう。
全国一斉休校が明けても、いきなり全員登校とは行かず、児童の半分が登校するという分散登校や、タブレットを使って自宅で授業が受けられるオンライン登校が行われるようになりました。
オンライン登校は、都道府県や学校で差があるのが事実です。
オンライン登校の進んでいる東京や大阪では、緊急事態宣言が出るたびに柔軟にオンライン登校に切り替えることができるようになりつつあります。
オンライン登校が確立すれば、授業の遅れを気にすることなくコロナ対策との両立が図れます。
しかし、皮肉な結果かもしれませんが、オンライン登校が実現するほど、やはり子どもたち全員が学校に来て、みんなと笑顔で過ごすことがどれだけ大切なことであるかということに気付かされるのです。
登下校はどうなった?
次に登下校です。
これまでは、高学年と低学年の子どもが2列に並びながら登下校するのが一般的でした。
しかし、コロナ禍では会話や密になることは防がなければなりません。
その結果、一列での登下校に変更されることとなりました。
学校についても教室にすぐには入れません。
健康観察カードという、毎朝の検温記録と親のサインを担任の先生に見せてから初めて教室の中に入れるのです。
健康観察カードを忘れた児童は職員室に向かい、そこで検温を行ってから初めて教室に入れるようになります。
朝礼や集会
学校は基本的に週の初めに全校児童を集めた朝礼を行います。
しかし、コロナ禍においては、全校児童を一堂に集めること、特に体育館の中に集めることは密になります。
したがって、一堂を集める朝礼はしばらく行われませんでした。
代わりに行われたのが、校内放送による朝礼です。
各教室にあるテレビで校長先生を映すことができるため、運動場に行かなくても朝礼が可能になりました。
さらに、最近では一人一台タブレットの支給により、タブレットを活用した朝礼も行われています。
先程のテレビと同様に、先生と児童をタブレットでつないで朝礼ができるのです。
授業中はどうしてる?
授業のあり方も一変しました。
まず、席の配置は、これまでは隣同士の席を付けていましたが、最低30センチは間隔を空けるようになりました。
しばらくの間は、隣や前後での話し合いの授業中もなくなりました。
実は、学習指導要領の改訂により、子ども同士で話し合う時間は多く設定されていたのですが、いわゆる共有の学習活動はしばらくの間行われませんでした。
最近では、子ども同士の距離に配慮しながら、グループワークが行われるようになってきました。
体育や音楽は、内容そのものが変更されました。
例えば、体の接触があるバスケットボールは行われません。
また、水泳についても密であるとして、行われないところが大半です。
音楽では、飛沫防止のため合唱やリコーダーの授業がなくなり、指だけで音は出さないなどの工夫がされています。
休み時間の過ごし方は?
休み時間も密は避けなけれなりません。
しかし、休み時間は基本的に先生は教室にいません。
子どもだけになれば、自然と子ども同士の接触は増えてしまいます。
また、外で遊ぶ子どももいます。
休み時間の子どもの過ごし方は、鬼ごっこやどろけいが多いです。
かげふみおにご、というものも開発されましたが、やはり通常のタッチによる鬼ごっこに戻ったようです。
給食の時は?
これまでは、机を付けてグループで食べていましたが、コロナ禍においては、全員が授業中で同じように前を向いた状態で、黙って食べます。
学校によっては、児童が盛り付けるのではなく、すべて先生が行うなど感染対策を徹底しているところもあります。
盛り付けは原則一度切りということで、食べ始めてからのお替わりも禁止している学校もあります。
給食時はマスクを外しますので、特に徹底した対策が取られています。
なお、学級人数よ多いクラスでは、担任の先生が廊下に出て給食を食べるという事例もあります。
コロナ禍における学校行事
子どもたちが楽しみにしている学校行事も、大幅な変更を余儀なくされています。
遠足や校外学習
遠足や校外学習は、学校を離れていろいろな体験ができるため楽しみにしている児童が多いです。
しかし、遠足や校外学習は中止や目的地の変更となる事例が多数を占めます。
理由の一つがバスです。
コロナ禍においては、二人がけの席を一人で座ることが原則です。
しかし、例えば30人のクラス全員が入るとなると、一人がけではバスが2台必要になってしまいます。
そうした場合、家庭の負担が大きくなることを考慮して、中止や徒歩で行ける近場に変更することになります。
運動会
運動会は、数ある学校行事の中でも特に重要な行事です。
子どもたちの運動の技能を競うのはもちろんですが、子ども同士が協力し合ったり、困難に立ち向かったりしながら競技を完成させていく過程も、学校教育においてなくてはならないものです。
しかし、残念ながら運動会も大幅に規模を縮小せざるを得ない状況です。
徒競走+1つの競技
という形が一番多いのではないでしょうか。
運動会といえば、大声での声援で盛り上がるものですが、話すことも禁止されているため、応援は全て拍手で行われます。
運動会を楽しみにしているのは子どもだけではありません。
観覧を楽しみにしていた保護者も、人数制限を設けられたり、学年ごととこじんまりとしま雰囲気で、少し物足りなく感じるでしょう。
また、参観自体も、自分の子どもの出番が終わったら場所を他の人に譲って後ろに移動するなど、撤退した密対策がされています。
コロナ禍における運動会事情の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
修学旅行
修学旅行は、学校行事の中で一番思い出に残る大きなイベントです。
しかし、コロナ禍においては、最悪の場合、中止という悲しい結末になることもあります。
宿泊を伴う行事のため、日程変更も容易ではありません。
予定していた時期にたまたま緊急事態宣言が重なってしまうと、旅行には行けなくなってしまうのです。
コロナ禍における修学旅行事情の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
コロナ禍のいじめ
子どもだけに限った話ではありませんが、新型コロナウイルスは新たな差別をも生み出してしまいました。
いわゆるコロナいじめです。
国の調査によると、児童生徒の約14%が新型コロナウイルスに関する差別を目撃しているというデータがあります。
これは、感染した児童だけではなく、例えば、咳をしただけの児童に対して、
「お前、コロナか?」
というような発言も含んでいます。
もちろん、このような悪ふざけの延長のような行為も許されるものではありませんが、さらに深刻なケースもあります。
感染児童やその家族に対するもの
令和3年10月時点で、新型コロナウイルスの感染者数は累計で169万人に上ります。
国民の75人に1人が感染していることになりますので、当然、学校現場にも感染者がいても不思議ではありません。
コロナにかかってしまった児童がいる場合、休校はもちろんのこと、同じクラスの児童などが濃厚接触者に該当するなど、周りが一気に慌ただしくなります。
本人も学校に登校できなくなりますし、とても影響が大きいのです。
家族が感染した場合も同様で、子どもは登校できなくなります。
一言で言えば、すぐにバレてしまいます。
子ども社会が時として残酷なことは、皆さんもご存知だと思います。
誰か一人でも、差別的な行動を取るようになれば、あっという間に広がってしまうでしょう。
家族が医療従事者の場合
コロナによる差別は感染者そのものに対するものばかりではありません。
コロナの最前線で戦っている医療従事者に対してのものもあります。
なんとも心の痛い話です。
先日は、ある病院でクラスターが発生した直後に、自治体の指示で、その病院に勤めている看護師の子どもを強制的に早退させ事例もありました。
医療従事者の方は、小さい子どもがいながらも、日々最前線で戦っています。
「我が子を残して、自分が死んでしまうかもしれない」
そのような恐怖と日々戦いながらも、コロナに立ち向かっているのです。
子どもも勿論ですが、大人がそのような差別に対してもっともっと声を上げなければなりません。
ワクチン接種の有無によるもの
令和3年度には、コロナワクチンが開発され、接種が行われています。
対象年齢が12歳以上のため、小学六年生から保護者同伴で接種することができます。
ワクチン接種は、感染率や重症化の低下などの効果が期待される一方で、重い副反応が出る恐れもあり、慎重な人もいます。
接種は本人の自由ですが、打った・打たないの差別が起きているのも事実です。
中には、教員が児童に対して接種の有無を挙手させるなど、差別を助長してしまうケースもあります。
不登校などの精神的な負担
文部科学省『令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』によると、小学生の不登校者数は年々増加しており、令和元年度は約53,000人でした。
しかし、これらの数には新型コロナウイルスの影響は反映されていません。
コロナ感染の恐怖から登校ができなくなってしまう児童や、コロナによる見えないストレスと戦い続けた結果、心を病んでしまう児童もいます。
コロナによって家庭環境が大きく変わってしまった家庭もあるでしょう。
お父さんの収入が激減したり、お母さんの仕事がなくなってしまうなど、家庭の問題はダイレクトに子どもにも飛び火します。
子ども同士の接触も制限され、思うように外出もできない中、子どもたちの心は徐々に閉ざされていっているのです。
大人でも相当なストレスのかかる今の状況は、子どもにとっては耐え難いストレスである可能性があります。
子どもの様子で気になることがある方は、スクールカウンセラーなど、頼れる人に相談してみてはいかがでしょうか。
学校の消毒事情
コロナ禍では、あらゆる施設が感染予防として消毒を行なっています。
学校は非常に広い施設ですが、あらゆる場所を子どもたちが触れるため、消毒は欠かせません。
手洗い場と教室内に消毒液が置いてあります。
外から教室に入る前に、手洗いをしてから消毒します。
また、給食の際にもみんなで手洗い、消毒をします。
さらに、配膳する前に子どもたちの机を消毒液で拭きます。
1日が終わると、担任の先生が各クラスのドアや窓などの消毒をします。
そのほか、体育館や器具庫なども定期的な消毒を行なっています。
コロナ禍の学校の対策はどうなってるの?まとめ
コロナ禍においても、子どもたちにはこれまでと同じような教育を受けさせるために、学校ではさまざまな工夫をしながら、試行錯誤を繰り返しています。
学校の中で感染者を出さないために先生も必死に頑張っているのです。
まだまだ子どもたちが本当に安心できる状況にはなっていませんが、このような対策が実って、子どもたちに安心が戻ることを願っています。
小学生が開発したコロナ対策アプリについてはこちらをご覧ください。
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