「小学生になったから、子どもにおこづかいをあげようと思うけど、毎月定額制がいいか報酬制がいいか、どっちだろう。
お金の大切さを知ってもらうためには、やっぱり報酬制がいいのかなぁ。」このようなお悩みを持っている方はぜひご覧ください。
子どもが小学校に入ると、「おこづかいをどうするか」という問題が出てきます。
お金についてはパパの関心も高いテーマです。
逆に言うと、子どものおこづかい、夫婦間で方針が分かれることもしばしば。
一度始めると、後々の軌道修正が難しいため、スタートは慎重に行きたいところです。
・子どものおこづかいは定額制?報酬制?
・報酬制のメリット・デメリットは?
・おこづかいを通じて子どもにマネー教育をしたいんだけど
この記事を書いているボクは、年間100冊の育児書を8年以上読み続けており、良いと思ったものを取り入れて、たくさんの実践を繰り返している小学生2児のパパです。
ボクは、ファイナンシャルプランナーの資格をもっており、過去に仕事として子どもの教育費の相談を受けた経験があります。
お金の正しい管理方法を身に付けるため、どのような渡し方がよいか考えていきましょう。
報酬制はよくない?子どものおこづかい事情を徹底解説。結論をお伝えします
・子どものおこづかいは定額制がよい
・マネー教育で一番大切なことは「計画性」を身に付けること
・人生のマネープランは「定額」の収入と支出を基に設計されるもの
・収入が変動する報酬制は「計画性」が身に付かない
・そもそも「お金=労働の対価」という考えを改める
詳細は本文で説明します。
子どものおこづかいは定額制?報酬制?みんなの家庭事情
各家庭の事情は?
子どもへのおこづかいの渡し方は、大きく3つに分けられます。
・定額制
・報酬制
・都度制
都度制とは、お金が必要になった時に、親に申請するものです。
いつからどれくらい渡す?
おこづかいを渡している家庭は、小学生で約7割、中高生で約8割を超えています。、
おこづかいは、小学校低学年からはじめる家庭がほとんどです。
逆に、中学年・高学年から始めるケースはまれで、低学年で渡さなかった家庭は、小学生のうちは渡さないという場合がほとんどです。おこづかいの金額は、下記のとおりです。
低学年は500円前後
中学年は800円前後
高学年は1,000円前後出典:金融広報中央委員会『子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度』
子どものマネー教育
マネー教育ってなに?
近年、子どもの「マネー教育」という言葉が使われるようになりました。
子どもが将来お金に困らないように、子どものうちから教育したい
このように考える親が増えたことが一因です。
これまで、日本社会ではお金の話を子どもにすることはタブーとされてきました。
しかし、長引く超低金利時代の中で、銀行にお金を預けておけば何も考えなくてよいという時代は終わり、一人一人がお金に向き合わなければならなくなりました。
残念ながら学校教育ではお金のことは学べませんので、親が子どもにマネー教育をすることは非常に大切なことです。
一番大切なことは「計画性」を身に付けること
では、マネー教育とはどのようなことを教えればよいのでしょうか。
「お金は大切だから大事に使おう」ということでしょうか。
これは少し微妙です。
もちろん、大切な考え方ですが、これだけでは十分とは言えません。
マネー教育で一番大切なことは、「計画性」を身に付けることです。
世の中には、計画性がない人はたくさんいます。
これまでFPとして負債整理の相談をたくさん受けてきましたが、お金に関する失敗のほとんどは「計画性」のなさによるものです。
漠然と、「将来お金に困らないように」という考えではなく、子どもに計画性を身に付けることを一番に考えましょう。
お金の計画性とは何か
「計画性」について、子どもに置き換えて考えると、わかりやすいです。
「欲しいものを何でも買ってると、後でお金がなくなって困るよ」
子どもにこのような声かけをする家庭はたくさんあると思います。
実は、大人の世界のお金の「計画性」も全く同じ原則です。
「収入」と「支出」のバランスを考えて計画を立てるだけです。
でも、この原則通りに行動できない人もたくさんいます。
・全身脱毛を分割払いで契約してしまった。
・住宅ローンを返済能力ぎりぎりで組んだけど、支払いができなくなった。
・子どもの教育資金が用意できない。
これらの失敗は、「収入」「支出」のバランスを考えて計画を立てなかったことが原因です。
「将来お金に困って欲しくない」と思うのであれば、お金の「計画性」を身に付けさせるようにしましょう。
報酬制のメリット・デメリット
報酬制のメリット・デメリット
一般的に言われている、報酬制のメリット・デメリットを紹介します。
報酬制のメリット | 報酬制のデメリット |
・「お金=労働の対価」であることを理解できる。
・働くことの疑似体験ができる。 ・お手伝いが習慣化する。 |
・お金をあげないと手伝いや勉強をしない子になる。 |
世間一般の意見を見ると、報酬制の方がメリットが大きいように思えます。
しかし、ボクは全く違う視点から考えて、報酬制にはデメリットが大きいと思います。
報酬制では、お金の計画性が身に付きません。
報酬制は、お手伝いや勉強を頑張ったらお金がもらえるシステムで、いわば変動制です。
収入が変動するので、計画を立てることが非常に難しくなります。
収入が決まっているからこそ、「今、このおもちゃを我慢すれば、半年後に5,000円貯まっているから、その時発売する新作ゲームが買える」という計画性が身に付くのです。
このように書くと、「報酬制でも、目標額のためにどれだけ働けばよいかを考えるという「計画性」が身に付く」という意見が聞こえてきますが、実際の社会では、報酬が変動する仕事はリスクが大きく、固定制に比べて計画性が立てにくいです。
やはり、報酬制ではお金の計画性を身に付けることは難しいです。
おこづかいを利用して、「お手伝いのできる子」「進んで勉強のできる子」にしたいという気持ちはわかりますが、本当に身に付けさせたいものを見失ってはいけません。
ちなみに、都度制も計画性が身に付かないため、避けた方がよいでしょう。
報酬制が成立するのは小学生まで
一般的な、報酬制によるおこづかいの単価一覧です。
項 目 | 単 価 |
風呂掃除 | 20円 |
ゴミ捨て | 10円 |
洗濯物を干す、たたむ | 20円 |
トイレ掃除 | 50円 |
おつかい | 100円 |
これをこなしていくと、だいたい1か月500円~1,000円前後になると思います。
しかし、中学生以上になると必要なおこづかいの金額はどんどん増えていきます。
中学生は1,500円前後、高校生は5,000円前後となります。
必要な金額は増える一方ですが、中学生になると部活やテスト勉強でお手伝いができる時間は大幅に減少します。
テストでいい点を取ったらおこづかい
という方法もなしとは言いませんが、いつか破綻します。
結局、中学生以降は定額制にシフトせざるを得ません。
「お金=労働の対価」の落とし穴
報酬制を導入する家庭で、一番多いのが「お金=労働の対価」として得られるということを理解して欲しいという考えです。
それ自体が間違っているとは思いませんが、ボクは少し危険な考え方だと思います。
「お金=労働の対価」
この考えは、「働いていさえすれば対価としてお金がもらえる」という考えに陥る可能性があります。
対価は、「労働の量」ではなく「労働の質」に対して発生するものという考えにシフトチェンジしました。
お手伝いに対するおこづかいは、「労働の質」が問われることはありません。
子どもは、「風呂掃除さえすればお金がもらえる」と思ってしまいます。
でも、その考え方はこれからの社会では通用しません。
自分で課題を見つけて、自分のなりの解決策を提案して、その質が高くなければ認めてもらえません。
「お金=労働の対価」を正しく身に付けさせたいのであれば、実際に働いてる現場を見学するなど、労働の質を理解できるようになる必要があると思います。
定額制でいいの?
定額制に対する批判の声もたくさんあります。
・お金は自動的にもらえるものだと思って、お金の大切さを理解しなくなる。
・年齢とともに勝手に金額が上がるため年功序列的な考えに似ている。
・お手伝いや勉強をしない子どもになる。
でも、ボクは定額制がいいと思います。
おこづかいは、お金の計画性を身に付けるためのものだと割り切って渡しましょう。
その代わり、欲しいものがあればおこづかいの中でやりくりさせることを徹底させます。
おこづかいを渡しているのに、欲しいものがあるたびに都度追加で渡してしまうのが一番よくありません。
おこづかいを渡す意味を、ご家庭の中でよく話し合うことをおすすめします。
報酬制はよくない?子どものおこづかい事情を徹底解説まとめ
おこづかいには、定額制・報酬制・都度制がありますが、一番大切なことはお金の計画性を身に付けることです。
お金の計画性は、収入額が決まっている定額制でしか身に付けることができません。
報酬制は、お金がもらえないと手伝いや勉強をしなくなるという危険性もあります。
そして、これからの時代を乗り切るためには、「お金=労働の対価」という考え方を見つめ直す必要があります。
ボクは、毎日、お風呂で子どもたちに「答えのない問題」を出しています。
始めた頃は、とまどっていましたが、今では自分の考えと理由が言えるようになってきました。
・野良ネコはたくさんいるのに、野良犬はいないのはなんで?
長男:わからない。
次男:わからない。
少しイメージしづらかったですね・・・。
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