学期の終わりに差し迫ったころに、小学校では個人懇談会が行われます。
先生と一対一で話すまたとない機会ですが、保護者側としては
何を言われるのかな
とドキドキします。
たった15分程度の時間は、あっという間に過ぎてしまいます。
でも、せっかくの機会なので保護者も受け身にならずに聞きたいことを聞いて有意義な時間にできるといいですね。
この記事では、現役の小学校教員へのヒアリング結果を踏まえて、実際に先生がどのような考えで個人懇談に臨んでいるかも紹介していきます。
小学校の個人懇談の目的は?
小学校の個人懇談の目的はなんでしょうか。
まずは、この点を押さえておきましょう。
学校と家との情報共有
小学校の個人懇談の目的は、学校と家との情報共有です。
学校で子どもがどのように過ごしているかは、親は見ることはできません。
学校での様子は担任の先生が一番よく把握しています。
親は、子どものことはよくわかっている、と思うかもしれませんが、それはあくまでも家庭での姿です。
子どもの知らない一面がある
ということを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
子どものことを教えてほしいのは先生も同じです。
先生は、学校での子どもの様子しか知りません。
学校では、とても真面目なら態度である子どもが、家では親に対して暴言を吐いていて親がとても苦労している、というケースはよく聞きます。
逆に、学校では反抗的な態度をとる子どもが、家庭ではきょうだいの面倒見が良いということもあります。
一面的な見方をしないことは、教員にとっても必要なことなのです。
いいことも悪いことも共有しよう
家での子どもの様子を話す時に、悪い部分は隠しておきたいという心理がはたらくことがあります。
でも、いい面も悪い面も含めてその子の人格です。
また、親が悪い面と思っているところも、実は理由があったりもします。
悩んでいることがあれば先生に相談して、いい面はいい面で素直に伝えましょう。
その方が、お互いに誤解が生まれにくくなります。
個人懇談では何を話すのか?
10~15分という短い時間の中で、何を話すのか紹介します。
大きく分けて、「生活面」「学習面」「友人関係」「その他気になること」です。
生活面について
まずは、学校での様子全般についてです。
・元気に過ごしているかどうか。
・忘れ物はしていないか。
・ルールを守れているか。
・友達にやさしく接しているか。
・お手伝いを率先してやってくれるか。
などです。
授業中に眠そうにしていたり、最近浮かない表情が多いなどの気掛かりな面についても先生はきちんと見てくれています。
学習面ばかりを気にする保護者がいますが、生活面で気になることがあれば、子どもは勉強どころではありません。
生活面で褒められる子どもは、自分に自信を持つことができるようになるため、学習面においても必ずプラスの効果があります。
逆に、生活面で気になることの原因は、家庭で発生していることも多くあります。
例えば、朝、家でキツく叱られたとすると、その日は子どもも荒れやすくなります。
家庭内で常に不和があれば、子どもの精神にはずっと負担が掛かっていることになります。
子どもの生活面の様子についても、軽く考えずにしっかりと確認するようにしましょう。
学習面について
学習面は、親が1番気になるポイントでしょう。
子どもがどれくらい理解できているか、気になる教科はないかなど教えてくれます。
宿題をきちんとやっているかや授業中の様子についても教えてくれます。
宿題をチェックしよう
宿題は、高学年にもなれば親は小まめにチェックしなくなります。
また、子どもにも知恵が付いてくるので、答えを丸写ししたりする子も出てきます。
しかし、答えを丸写ししていることは見ればすぐにわかります。
そのような子は字や丸付けが非常に雑であり、何よりも能力的に全部正解と言うことはあり得ない子もいます。
小学校のうちは、宿題だけやっておけばいい
という人がいますが、残念ながら宿題すら満足にできていない子どもはたくさんいます。
親も気付きにくい面なので、先生に教えてもらうようにしましょう。
授業中の態度も重要
授業中の態度もとても重要です。
これは、挙手をしているかどうかだけではありません。
以前は、通知表に「関心・意欲」という観点があり、挙手の回数は指標の一つでした。
しかし、新学習指導要領が施行され、新しく「主体的に学習に取り組む態度」に改められたことにより、挙手の回数よりも、既存の知識を用いて、粘り強く自分の考えを形成できるかなどが重視されるようになりました。
ノートなどにキラリと光る感想や考えが書けているかなど、以前とは見るポイントも変わってきています。
成績は良くても、授業に真剣に取り組んでいない子どもも要注意です。
また、勝手な発言を繰り返す子どもも気をつけなければなりません。
やはり、長い目で見た時に素直な子どもの方が伸びます。
テストの成績だけでなく、普段の授業の様子も確認しておきましょう。
友人関係について
子どもの悩みで多いのが、友人関係です。
学校が楽しいと思えるかどうかは、友だちがいるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
いくらインターネットで世界が広がったとはいえ、子どもにとっては目の前の友人関係が世の中の全てです。
また、特定の友だちがいたとしても、他の子からいじめにあっていないかも重要なポイントです。
いじめについては、高学年にもなればなるほど子どもも巧妙になってきます。
最近ではSNSなど先生の目の行き届かないところでのいじめも起きるようになっています。
学校で気になることは先生に確認するとともに、家庭内での子どもの様子で気になることがあれば先生に伝えましょう。
また、家や習い事先で、友だちから嫌なことをされているケースがあった場合も先生にどんどん伝えていきましょう。
先生の見えないところでは、いい子のふりをしていても、当人同士の関係ではいじめが発生しているかもしれないので要注意です。
その他気になること
その他に、気になることがあれば話題に上がります。
生活面や学習面と重なるかもしれませんが、例えば、
・授業中に勝手に立ち歩いてしまう
・授業中に勝手に発言してしまう
・漢字が書けない
・算数の計算が極端に苦手である
・発表の時に何も話せなくなる
・先生に反抗的な態度をとる
これらの行動は、集団生活を見ている先生でないとなかなか気付きにくい点です。
また、親であれば、そこまで気にならない点でも、先生から見ると、障害が疑われるケースもあります。
逆に、普段の家庭での様子から気になることがあれば積極的に聞いてみましょう。
例えば、
・家では好き嫌いが多いが給食は食べているか
・きょうだいにいじわるをするが、クラスではうまくやれているか
などです。
学校で問題なく過ごせていれば、そこまで気にしなくてもよいと思います。
逆に、親の前ではいい子を演じていても学校で問題行動があるケースにも注意を払う必要があります。
親は何を聞けばいいの?
親から話題を切り出すのか?
個人懇談は、基本的に先制主導で話が進められますので、親から話題を切り出す必要はありません。
親からの質問がなかったとしても、先生は児童一人一人の話すことを用意していますので、時間が余ってしまうような心配はありません。
これだけは聞きたいことはメモしておこう
しかし、あらかじめ聞いておきたいということは、聞き漏らさないようにメモを用意しておくことをおすすめします。
10分から15分はあっという間に過ぎていきます。
最後に聞こうと思っていたら、時間が来てしまうこともあるので、できれば最初に聞きたいことを聞くとよいでしょう。
親が1番心配していることについて時間を割くことが、結果的にもっとも有効な時間の使い方になります。
聞きたいことはパパとも調整しておく
個人懇談に参加するのは基本的にママが多いと思います。
でも、パパにも聞きたいとはないかを確認しておきましょう。
できれば、事前にどういうことを聞くか夫婦で話し合っておくとよいでしょう。
というのが、ママが聞きたいと思っていることをパパは知らないというのもよくないですし、パパなりの見解があるかもしれません。
また、男親としての目線もあると思います。
個人懇談を機に、夫婦で子どもの置かれている状況について共通認識をもっておけるとよいですね。
苦情はできるだけ控える
日々の子どもから学校の様子を聞くにつれ、先生に対して不信感が募ることもあるでしょう。
個人懇談で一言いわないと気が済まないという人がいることも理解します。
しかし、できる限り苦情を言うのは控えましょう。
これは、言いたいことを我慢する、という意味ではなく、伝え方の問題です。
あくまでも先生を立てながらも上手に要望を伝えられるのがベストです。
と言うのも、先生だって人間です。
一方的に苦情を言われたのではいい気分はしません。
先生としても、
自分の子どものことを棚に上げて、権利ばかりを主張する親
というレッテルを貼られます。
実際にクレーマーのような保護者がいるのも事実であり、そのような保護者は先生全員が共通認識をもっています。
そのようなクレーマーと同一視されないためにも、常識があり話がわかる親であることを伝える必要があります。
そのためにも、親は感情的にならず、下手に出ながらも要望を伝えるようなテクニックが必要なのです。
現役教員に聞いた先生のホンネ
ここからは、現役小学校教員に聞いた個人懇談会でのあるある話です。
話すことはどう組み立てる
先生は、どのように話を組み立てるのでしょう。
親が気になってることあるか?
多くの先生が、まずは親に対して気になっていることはないかを最初に確認します。
気になることがあれば親の質問に答えていき、気になることがなければ先生が用意したセオリーで進みます。
子どもの良い面、直した方がいい面
次に学校での様子を伝えてくれます。
特に、良い面と直した方がいい面について話があります。
いずれの面も、具体的なエピソードを交えて話してくれるはずです。
子どもの意外な一面を知るはずです。
良い面については、家に帰ったら子どもを褒めてあげましょう。
先生からも、
学校では頑張っているので、家でも褒めてあげてください
と言われるはずです。
先生が褒めていたと聞けば、子どももいい気分になり、明日からの行動にも変化が表れるでしょう。
先生が困る保護者は?
先生が懇談会で困るケースがあります。
それが、親にとって耳の痛い話をした時の反応です。
親が受け入れない態度を取ったときに、先生はとても困ります。
直した方がよいと思って伝える内容は、先生にとってはとても気になるレベルであることがほとんどです。
日頃からどれだけ注意しても直らないようなケースで、先生も頭を悩ませているかも知れません。
しかし、
家ではそんなことはない
去年はそんな指摘を受けたことはない
先生のことを信頼できてないのではないか
などと、子どもの非を受け入れない親がいるのも事実です。
こうなると、先生と親の関係は一気に崩れます。
普段の生活で、子どもの態度が度を過ぎるようであれば、親に連絡をしますが、このような親の態度では、先生も親に連絡がしづらくなり、結果的に事態を更に悪化させます。
残念ながら、このような保護者が先生を悩ませているのも事実なのです。
話されたことがそのまま通知表に反映される?
個人懇談会は学期の終わりに予定されることが多く、その頃には通知表の中身も確定しています。
例えば、学習面で国語が褒められれば、国語の成績に◎が付いている可能性が高いですし、生活面で褒められたならば、その内容が所見欄に書かれているでしょう。
逆に、国語の成績が悪いのに個人懇談会で褒めるわけにもいきません。
通知表について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
小学校の個人懇談会まとめ
個人懇談会は年に2回、1回あたり15分と非常に短い時間です。
しかし、先生と話し合えるまたとない機会でもあります。
後で後悔しないためにも、事前に話すことを考えておいて、聞きたいことが聞けると、有意義な懇談になりますよ♪
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