子どもを持つご家庭にとって、学期の終わりには一大イベントがあります。
それは通知表です。
子どもの通知表の結果に無関心な人はいません。
◎はいくつあるだろうか?
1学期よりも成績は下がってないかな?
など、期待と不安が入り混じった気持ちになると思います。
成績が良ければ心配いりませんが、そうでなかった時は、親は心配になるでしょう。
でも、実はほとんどの人が、通知表を見る前にいくつものミスをしてしまっています。
その辺りも記事で解説したいと思います。
この記事では、お子さんの通知表の成績が悪かった時の対処法についてお伝えします。
なお、この記事は現役の小学校教師の助言を得ながら作成しています。
小学校の通知表の成績が悪かった時、どうすればいい?
通知表を見るシチュエーションとしては、終業式が終わって子どもが帰宅して、子どもから通知表を受け取って、その場で見る、という流れでしょう。
それ自体は何も問題はないのですが、実は、通知表を見る前が肝心です。
通知表の見方をまずは知ることから
まず初めに、多くの方が通知表の見方についてあまり理解していません。
何気なく、
◎がいくつあるか
△がないか
前回と比較して上がった、下がったか
というように、漠然と全体を捉えて見ています。
しかし、通知表は教科ごとはもちろんのこと、知識・技能などの観点ごとに成績が付けられています。
お子さんの得意・不得意を把握したり、今学期のがんばりを認めるためには、教科別の観点ごとに成績を分析する必要があります。
詳しい通知表の見方はこちらをご覧ください。
通知表を見るときは右側から
通知表には、成績欄と所見欄があります。
一般的には、見開きの左側が成績欄、右側が所見欄となっています。
ほぼ全員の方が、左側の成績欄から食い入るように見ることでしょう。
確かに、成績は気になりますし大切なことです。
しかし、お子さんの日頃の頑張りを評価するのは成績欄だけではありません。
クラスのためにがんばった
友だちにやさしくした
などが書かれている所見欄も、子どもを認める上でとても大切な項目です。
しかし、成績欄から先に見てしまうと、所見欄について穏やかな気持ちで向き合うことができなくなります。
すると、せっかく褒めるべきことが書かれていても、子どもを褒める機会を失ってしまうことになります。
まずは所見欄を見て、その点について子どもと向き合いましょう。
ちなみに、我が家では、成績欄を隠して所見欄だけをまずは見るようにしていますよ⭐︎
成績が悪くても叱らない
通知表の成績が悪かった時、子どもを叱るケースが多いと思いますが、これはいくつかの点でよくありません。
自己肯定感が下がる
成績が悪いと叱られるのは当然
と考えている人は多くいます。
しかし、叱られたから勉強をやるようになるかと言えば、多くの人はあまり効果がないことを経験しているはずです。
うちの子は、どれだけ言っても勉強しないんです
という意見をよく聞きますが、まさにそれです。
叱られて人からやらされる勉強は長続きしません。
むしろ、
自分は勉強ができない、
というレッテルを貼ることになり、簡単に挫折してしまうようになります。
子どもが成長していく上で、自己肯定感が低いことはさまざまな弊害をもたらします。
通知表の結果だけを見て、叱ってしまうのは、過程を見ずに結果だけに捉われていることにもなるので、できるだけ控えるとよいです。
やる気をなくさせる
叱られてやる気が出る
という子は少ないものです。
親としては、言わなかったらやらないのだから、親が叱るしかないと思うのですが、実際は子どもは叱られるとやる気をなくすものです。
それよりも効果的なこもは、褒めること・認めることです。
この成績のどこを褒めろというのか?
という声が聞こえてきそうですが、褒めるところがない子どもなんていません。
たとえ成績が悪くても、日々の勉強の中でも成長した部分を見つけて褒めてあげましょう。
その方が、子どものやる気が伸びますし、お互いに嫌な気持ちにならずに済みます。
親に隠し事をするようになる
悪い成績をとると親に叱られる
ということが続けば、子どもはどのような行動を取るでしょうか。
叱られるのが嫌だから、もっと頑張るようになるでしょうか?
答えは、親に隠し事をするようになる、です。
叱られるとわかっていて、それを相手に伝えるのはとても怖いものです。
だから、親が叱りすぎるとどんどん子どもは隠すようになります。
後述しますが、通知表の成績は、普段のテストなどの学習成果の積み重ねです。
親としても、普段の学習成果を子どもが全て報告してくれるなら手の打ちようもあります。
しかし、日頃のテストや小テストなどを子どもが隠すようになると、親としても子どもの成績をタイムリーに知ることができなくなります。
何よりも、健全な親子関係が築けなくなりますので、叱りすぎには気をつけましょう。
2回叱られている
成績が悪いと、実は子どもは同じことで2回叱られていることになります。
まずはテストの返却時。
そして、通知表の返却時です。
先ほども書きましたが、通知表はその学期の学習成果の積み重ね。
つまり、テストの成績が悪ければ、当然通知表も悪くなります。
子どもとしては、同じ内容で2回叱られていることになるので、これは少し理不尽というものです。
もらう前から成績はわかる?!
あらかじめ、親が予想をしておくことが大事
通知表は、日々の学習成果の積み重ねです。
だから、その学期の成績を全部見返してみれば、自ずと通知表の成績は事前にわかるのです。
もちろん、平均点によって多少違いはあるでしょうが、テストで良い点が取れていたり、普段のプリントやノートがきちんとできていれば自ずと通知表の成績はよくなります。
その逆であれば、通知表の成績は悪くなります。
終業式の日に、見てビックリ
ということを避けるためにも、その学期のテストやプリント等を見返して、あらかじめ親が心の準備をしておきましょう。
きっと、予想通りの成績となっているはずです。
通知表はその学期の成績だけで決まる
通知表は、その学期の成績だけで決まります。
1学期の成績がどうとか、去年がどうとかは関係ない。
1学期に比べて下がった
去年より成績が悪くなった
と言う人がいますが、単元が変われば子どもの理解も変わります。
その学期の単元が何で、その内容をよく理解しているかどうかを把握することは、通知表を予想するためだけでなく、子どもの学習の理解度を知る上でも、とても大切なことです。
子どもの通知表の成績欄から悪かった時の対処法を教えます
それでは、ここからは具体的な対処法をお伝えします。
子どもの苦手な単元を把握する
例えば、算数の成績が3観点ともに◯だとします。
これだけを見ても、あまりよくわからないと思いますので、小学6年生の2学期の単元で具体例を出して見てみましょう。
仮に、下記のようなテストの成績だったとします。(各観点ごとの配点は50点満点)
知識・技能 | 思考・判断・表現 | 合計 | |
円の面積 | 45 | 30 | 75 |
立体の体積 | 40 | 30 | 70 |
比とその利用 | 50 | 50 | 100 |
前期のまとめ | 40 | 40 | 80 |
図形の拡大・縮小 | 30 | 15 | 45 |
比例と反比例 | 30 | 20 | 50 |
いかがでしょうか。
このようなテストの成績の子どもは、恐らく3観点とも「◯」となります。
では、全体的にできていないかと言えば、単元によってばらつきがあることがわかります。
たとえば、「比とその利用」の単元は理解できているが、「図形」や「比例と反比例」の単元は理解が不十分ということがわかります。
こうなると、「図形」や「比例と反比例」の単元を重点的に復習する必要が出てきます。
特に、知識・技能という基礎的な部分の理解ができていないため、しっかりと復習をしなければなりません。
算数は、一つの単元が終わると、ガラッと単元が変わるので、苦手の単元がそのまま放って置かれがちです。
次のその単元をやるのは、1年後かもしれません。
前の学年の理解がおぼつかない状況では、とても次の学年の勉強は理解できなくなってしまいます。
学習プリントはファイルに綴じる
みなさんは、学校から返却されたプリント類はどうされているでしょうか。
我が家では、ファイルに綴じて保存しています。
と言っても、実際に見返すのはその学期の終わりまで。
テストが終わるたびに、間違えた問題だけを復習するようにしています。
一学期分が、ちょうど紙ファイル一冊分になります。
背表紙に、「◯年◯学期分」と書いておけば後から見やすくなります。
分析することで、「自分は頭が悪い」と子どもが思わなくなる
理解できている単元と理解できていない単元を分けることで、自分を冷静に分析することができます。
すると、それまでは漠然と
自分は頭が悪いんだ
と思っていたのが、
苦手な単元を克服すれば成績が良くなるんだ
と思うようになります。
実は、
自分は頭が悪い
と思うことは、勉強する上で大きな弊害になります。
どうせやっても無駄だ。わからない。
と諦めてしまうと、いくら周りが必死になって教えても、どうしようもありません。
だからこそ、骨が折れる作業ではありますが、単元の分析は欠かせないのです。
教科別の苦手分野の対応方法
それでは、具体的な分析の仕方や対応方法を紹介します。
どの教科も、
知識・技能
思考・判断・表現
主体的に学習を学ぶ態度
の3観点に分かれています。
主体的に学習を学ぶ態度については、この記事では割愛します。
また、少し雑ですが、
知識・技能=基礎力
思考・判断・表現=応用力
として説明します。
国語
国語は、知識・技能と思考・判断・表現の区分が他の教科と少し違います。
国語の場合は、
知識・技能=言語
思考・判断・表現=言語以外の読む・話す・聞く
と理解すればよいです。
知識・技能の対応方法
言語とは、漢字や言葉の意味、接続詞や文法などです。
これらは、知っているか知らないかで差が出ます。
つまり、単純に知識があるかどうかで大半が決まります。
漢字の得意な子は、知識・技能が良くなる傾向があります。
もし、知識・技能が苦手であれば、まずは漢字、それから文法を取り組むことをお勧めします。
思考・判断・表現の対応方法
「読む」の分野がとても多いです。
いわゆる読解力とも言われますが、読解力は一朝一夕に身につくものではありません。
読書習慣や、日頃から考える習慣がついている子が有利になります。
じゃあ、すぐに身に付かないから諦めるのかといえば、もちろんそうではありません。
思考・判断・表現の成績も、基本的にはテストが大きな割合を占めます。
そして、テストは大半が教科書から出題されます。
したがって、テストの前に教科書に出てくる説明文や物語の書かれている内容を、ノートなどで復習しておきましょう。
小学校の国語のテストは、教科書の本文の意味を理解できれば十分に得点が取れます。
算数
知識・技能の対応方法
算数の知識・技能は、単純な計算問題です。
九九であれば、
6×5=⬜︎
9×8=⬜︎
というような計算です。
これらは、その分野の基礎力になるので、知識・技能の成績が悪い場合は、分野の初めからしっかりと学び直す必要があります。
基礎力は、ワークやドリルを解けるようになれば十分です。
思考・判断・表現の対応方法
算数の応用力は、書かれている問題の内容を理解することから始まります。
こちらも九九で例えると、
牛乳が5Lあります。
毎日5dL飲むと、5日後には残りどれだけになっているでしょう。
という問題です。
実は、算数の力だけで言えばかけ算と引き算の組み合わせですが、問題の意味を理解できない子どもが続出する分野でもあります。
これらは、応用力以外に読解力が必要な面もありますので、国語の読む力の向上と合わせて、普段から考える習慣を身につけるようにしましょう。
社会及び理科
社会と理科はまとめて解説します。
知識・技能の対応方法
知識・技能は、単純な知識問題と、資料を見ながら答えるものです。
資料を読む問題は、小学生のうちはそこまで複雑なものはなく、資料に書かれた内容を抜き出せば正解となるものがほとんどです。
したがって、基本的に教科書を中心とした知識の習得が対策になります。
思考・判断・表現の対応方法
社会や理科の応用力では、
なぜそのようになったのか?
あなたはどう思うか?
というような意見を書かせる問題が出ます。
単純な知識だけでなく、その理由についても理解していないと解けません。
これらの能力は、勉強に苦手意識のある子どもでは、1人で身につけることは難しいです。
親が一緒になって考えて、
なんでこうなるの?
という子どもの疑問にその都度答えてあげるようにしましょう。
その積み重ねで、子どもの理解が広がりや深まりを見せるようになりますし、社会や理科への興味・関心へとつながります。
わかるところまで戻る
単元の復習をするにあたって、一つ気をつけてほしいことがあります。
それは、子どもがどこからつまずいているかを知ることです。
その上で、わからないところまで遡って復習させます。
算数などは、前学年の関連する単元からつまずいている可能性がありますので、遠回りに思えるかもしれませんが、必ず戻るようにしましょう。
漢字が苦手な子であれば、1学年前の漢字をマスターしているかを確認してみます。
おすすめの漢字学習についてはこちらをご覧下さい。
これらの戻る作業は、土台固めのようなものです。
勉強は土台の上に積み上げていく作業なので、面倒に感じても取り組むようにしましょう。
予習は軽めでよい
これから先の話になりますが、成績を上げるために予習も効果的です。
でも、まだ習ってもいない単元を子どもが一人で予習するのには限界がありますし、時間も無限ではありません。
そこでおすすめなのが、YouTube動画による予習です。
学年通信で、今月の単元を確認して、その関連動画を見させましょう。
予習段階では、ただ見ているだけで十分です。
次に授業で学習した際に、
あ!これ聞いたことある!
というアドバンテージが、子どもの学習意欲を高めてくれるでしょう。
通信教育を活用する
しっかりと理解させたいという方は、通信教育などの優れた教材を活用するのも有効な手段です。
通信教育では、専門の講師がアドバイスもしてくれるので、安心して任せることができます。
小学生におすすめの通信教育はこちらをご覧ください。
また、特に苦手な子が多い算数に特化した通信教育はこちらです。
成績について学校に確認する
これは、最終手段ではありますが、もし、通知表に納得がいかないことがあれば、学校に確認することができます。
学校側も根拠をもって成績を付けていて、各単元の積み上げで何点以上なら◎となっています。
どこまで詳細に教えてもらえるかわかりませんが、成績の算定根拠について理解できるでしょう。
むしろ、気付かなかったことを知る機会になります。
例えば、
テストは良くても提出物が出されていない
観点ごとに偏りがある
など、これまで知らなかった視点がわかることもあります。
ただし、あくまでも最終手段であり、やはり学校からはある程度警戒されてしまうことになります。
小学校の通知表の成績が悪かった時、どうすればいい?対処法まとめ
いくつかの対処法を紹介しましたが、大前提として親と子どもの間に信頼関係がないと成り立ちません。
親が一方的にガミガミ言うような関係は、いつまでも長続きはせず、子どもも反発するようになるでしょう。
勉強は、健全な親子関係の上に成立することを理解できると、きっと成績もよくなると思いますよ。
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