1学期が終わると、長い長い夏休みがやってきます。
子どもにとっては夢のような期間ですが、親にとってはいろいろと悩みのタネでもあります。
子どもがダラダラして困る
しっかりと計画を立てて勉強させたい
宿題が終わるか心配
実は、悩みの多くは宿題や課題に関するものです。
子どもに任せっぱなしでは、締め切り直前になって大慌てで取り組むことになりかねません。
また、生活リズムの乱れなど、ダラダラしてしまうことを心配する保護者も多くいます。
せっかくの夏休み。
しっかりと計画を立てて、有意義なものにしたいですね。
この記事は、現役の教員目線で作成しており、効果的な夏休みの過ごし方をお伝えします。
また、現実として夏休み明けは不登校が増えるタイミングでもあります。
どのようなことに気をつけて過ごせばよいかもお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。
まずは夏休みの計画を立てる
夏休みを有意義に過ごせるかどうかは、いい計画を立てられるかどうかで決まると言ってもいいです。
でも、長期の休みだからと言って無理な計画を立ててはいけません。
達成できずに、かえってやる気をなくしてしまいかねないからです。
夏休みの計画を立てるポイントをお伝えします。
親子で計画を立てる
計画は、必ず親子で立てるようにしましょう。
子どもだけでもいけませんし、親だけでもいけません。
子どもの気持ちを確認しながら、無理のないちょうどよい負荷の計画を立てましょう。
子どもだけで計画を立ててはいけない理由
そもそも、低学年の子どもが一人で計画を立てようとしてもうまく立てられません。
計画を立てるのも初めてなので、うまく見通しが持てないのは当然です。
必ず大人がサポートしましょう。
また、高学年の子どもであっても、実現不可能な計画を立ててしまいがちです。
せっかく計画を立てても、実現できなければ子どもはやる気をなくし、落ち込んでしまいます。
親だけで計画を立ててはいけない理由
親が計画を立てた場合、子どもの能力や特性を見ながら、理想的な計画が立てられるかもしれません。
しかし、そこには子どもの意思が入っていません。
また、いつまで経っても子どもが自分で計画を立てる力が育ちません。
計画を立てるためには、まずは全体量の把握と、どれくらいのペースでやればよいかの分析が必要です。
また、難しそうな課題を先にやるのか後にやるのか、など特性に合わせて計画を練り上げていく能力が必要です。
中学生になると、この能力が備わっている子はテストで優位に立つことができるでしょう。
また、子どもが自ら関わった計画であれば、子どもが計画を破ろうとした時に、
自分が立てた計画なんだから、しっかりやりなさい
と促すことができます。
夏休みに過度な期待は禁物
夏休みは、毎日が休みで、何か大きなことができそうな希望が湧いてきます。
しかし、計画を立てる上で過度に期待するのは禁物です。
というのは、夏休みとは言え、大人には普段通りの日々が続くからです。
共働きの家庭の場合、平日は学童に預けたり、子どもに留守番をさせるなど、家族で過ごすことはできません。
子どもだけでは、普段通りの生活とあまり変わらない日々が続くことになります。
過度に期待して、実現不可能な計画を立てると、実行できないものばかりで自己肯定感が下がってしまいます。
無理な計画を立てるのではなく、できそうなことを着実に継続するような現実的な計画を立てるようにしましょう。
夏休みを4つの期間に分ける
40日以上ある長い夏休みを上手に過ごすには、期間を分けて考えることです。
40日と考えてしまうと、初めの頃は、
まだ35日もある
など、ついダラダラしてしまいがち。
そこで、夏休みをいくつかの期間に区切って考えてみましょう。
期間ごとに目標を決めて、その都度達成度を振り返るだけで、夏休みの過ごし方がぐっと変わりますよ。
4つの期間に分ける
どのような期間で区切るかは、それぞれの予定によって多少変わりますが、概ね以下の4つに分けるとよいです。
1 7月末まで
2 8月からお盆前まで
3 お盆期間
4 お盆以降
それぞれの期間の過ごし方
4つに期間を区切ったあとはそれぞれの期間の位置付けを説明します。
各家庭で行事の時期は異なると思いますが、1つの目安とお考えください。
7月末まで
最初の10日間は、休みが始まったばかりで気持ちも乗っている時です。
この時期に、できるだけ宿題や課題を多くこなしておきましょう。
夏休み後半にになっても、宿題がたくさん残っていると気持ちも落ち込んでしまいます。
後で後悔しないためにも、いいスタートを切りたいですね。
8月からお盆前まで
後でお話しするお盆期間は、家族で旅行に行ったり里帰りをしたりと、基本的には勉強を忘れて過ごす期間になります。
だからこそ、第2クールのこの期間を大切にしましょう。
この時期は、少し難しい課題にも取り組みたいですね。
例えば読書感想文。
本を決めて、本を読んで、できれば感想文の下書きを完成させるくらい進めたいものです。
そのほかにも、絵や習字の課題があればこの時期に終わらせておきたいですね。
というのも、夏休みには2回の出校日がありますが、2回目(8/20前後)の出校日に大半の課題を提出させる学校が多いようです。
せっかくのお盆も、その後に課題の山があるとなると心から楽しめません。
お盆期間
お盆は、家族みんなで過ごす大切な期間です。
旅行に行くのもよし、里帰りもするのもよし。
夏休みしかできない有意義な時間を過ごしましょう。
この期間は、スパッと割り切って勉強のことは忘れてしまって構いません。
メリハリを付けて、残りの期間を乗り切るためにも、心も体もリフレッシュさせてあげましょう。
お盆以降
お盆が終わればいよいよ2学期が目前になってきます。
出校日に提出する課題の確認をした上で、残っている宿題を確実に終わらせます。
また、夏休みで生活のリズムを乱していた人は、この期間でふだんの生活リズムに戻していきましょう。
2学期は長丁場です。
スタートに失敗すると、ズルズルと悪い流れが続いてしまい、学校生活が大変しんどくなります。まだ夏休みだから、とダラダラするのではなく、生活リズムを一番に意識することを心がけましょう
おすすめの夏休みの過ごし方【勉強編】
次に、夏休みのおすすめの過ごし方をお伝えします。
計画を立てる際の参考にもなりますので、ぜひご覧ください。
決して無理をせずに、かと言って宿題や課題だけに終わらないようなプランを紹介します。
午前中に集中してやる
夏休みは、とにかく暑いので、昼からはどうしてもダラけてしまいます。
そこで、勉強は朝から昼までと割り切ってしまいましょう。
その代わり、午前中は必ず勉強するようにさせます。
その方が集中してやれます。
昼から勉強することを想定した計画は、計画倒れになる危険性が高いです。
計画どおりにいかないと、子どもはすぐにやる気をなくすので、午前中でやれるくらいの計画を立てるのがちょうどよいと言えます。
苦手分野を克服する
夏休みを利用して、苦手分野を克服するのもよい考えです。
というのも、これから先の学年は、苦手分野の難易度がどんどん上がっていくので、放置するとのちのち取り返しがつかなくなります。
苦手分野を知るには、1学期のテストを見返すのが1番です。
たとえ通知表が◎だったとしても、分野ごとに見れば得意不得意は必ずあります。
例えば、
算数で計算問題は得意でも図形は苦手
という子どもはたくさんいます。
少しめんどうかもしれませんが、子どもの理解をきちんと把握して、苦手分野は早めに対策しておきましょう。
課題が終われば先取りも
宿題や課題に目処がついたら、先取り学習をするのもよいでしょう。
先取り学習をしておくと、2学期の授業がうんと楽になります。
でも、教科書やワークなどを解かせるだけの先取り学習はかえって危険です。
机上の勉強になると、子どもは勉強を嫌いに感じるからです。
そうなっては逆効果です。
そこで、おすすめはスタディサプリです。
こちらは、有名講師の講義を動画で見ることができるので、学校の授業を受けるようにわかりやすく学ぶことができます。
神授業盛りだくさんのスタディサプリはこちらからご確認ください。
読書感想文に挑戦しよう
夏休みといえば読書感想文。
苦手な人がほとんどです。
実は中学生になっても読書感想文は大半の生徒が苦手としています。
しかし、一部の生徒は優れた文章を書くことができ、その差は歴然としています。
将来大きな差がつかないようにするためにも、小学生のうちから読書感想文に挑戦しましょう。
この際、親の支援は不可欠です。
子どもの興味のある本を一緒に探して、本や感想についてもインタビュー形式で質問するなど、子どもが感想を答えやすいように工夫しましょう。
この積み重ねが、自分の考えを表現できる子どもの育成につながります。
英検などに取り組んでみては
最後は、何か自由な勉強に取り組むものです。
夏休みは40日間あり、毎日が自由に使えます。
これを積み重ねると膨大な時間になりますので、さまざまなことを取り組むチャンスです。
例えば英検。
英検5級ならば、約1か月の期間があれば合格レベルに達する可能性は十分あります。
ぜひ、子どもと相談してチャレンジする課題を決めて頑張ってみましょう。
夏は大きく成長するチャンスですよ。
おすすめの夏休みの過ごし方【運動編】
夏休み、ついついダラけて忘れがちなのが運動です。
毎日クーラーの効いた部屋から一歩も出ないと、体がなまってしまうのは言うまでもありません。
夏の運動不足はなんとかしたいもの。
体がなまると勉強にも悪影響
体がなまると、脳の働きも悪くなることが知られています。
適度に運動をしないと、勉強にも力が入らなくなります。
計画を立てる際には、毎日運動をすることを意識しましょう。
夏休み明けの運動会にも悪影響
夏休み明けの9月末に運動会を行う学校は多いです。
しかし、夏休みで体がなまっていては、運動会でいい記録は期待できません。
1か月も運動をサボると、取り返すのに倍以上の期間が必要だからです。
激しい運動はしなくても、適度に毎日体を動かす習慣を続けましょう。
体操やプールがおすすめ
夏休みに運動しない原因は暑さです。
日中に、外で運動するのは危険です。
そこでおすすめしたいのが、家の中での体操です。
YouTubeでダンス動画がたくさんあるので、大人も一緒になって家族で楽しくエクササイズしましょう。
おすすめ動画はこちらです。
子どもが好きな曲がたくさんありますよ。
また、近所のプールも涼しくていい運動になります。
市民プールなら価格もお手頃なので財布にもうれしいですね。
おすすめの夏休みの過ごし方【遊び編】
夏休みは、たくさん遊んで思い出づくりをしましょう。
子どもたちは夏休みをとても楽しみにしています。
勉強、勉強では子どもも楽しくないので、たくさんいろんな遊びをしましょう。
夏だからこそ自然体験
夏といえば自然体験。
海や山に遊びに行って、ふだん体験できない自然の雄大さに触れるのは大きな刺激になるでしょう。
ウォータースポーツもいいですね!
テーマパークもいいですが、体を使って自然を感じる体験をしてほしいです。
昆虫採集
最近は網とカゴをもって虫とりをする子どもを見る機会も少なくなりました。
都会の子どもは、カブトムシはお店で売っているものだと思っている子のいるようで、何とも寂しい限りです。
そこで、お父さんの出番です。
公園や山に行って、子どもたちと虫とりをしてはどうでしょうか。
虫とりには、時に、草が生い茂っていたり、蚊がいたりして大変なこともあります。
でも、そんな自然を乗り切る手段を教えるのも親の役割です。
夏ならではの体験としておすすめです。
花火
花火は夏の風物詩です。
花火大会に出かけてもよし、家の庭や近所の公園で手持ち花火をするのもよし。
花火は子どもの心をワクワクさせてくれて、思い出の残りやすいものです。
なかなか遠出が難しい人も、近所で花火をするだけで思い出づくりができますよ。
夏休みに気を付けたいこと
楽しいことの多い夏休みですが、教員目線で気を付けてほしいことを紹介します。
夏休みは、学校に行かないのでついタガが外れがちです。
水の事故に注意
毎年のように子どもの水難事故が起きており、特に近年は異常気象の影響か、事故件数が増加している印象があります。
海や川などさまざまな場面で水難事故が起きていますが、子どもだけで近所の川などで遊んでいて事故に遭うケースも見られます。
事故だけは、どれだけ注意をしても言いすぎることはありません。
近くに川や水路がある場合、特に子どもだけで遊ばせるのは注意しましょう。
出校日には登校させる
小学校は、通常、夏休みに2回の出校日があります。
8月初旬と下旬で、それぞれ10時には帰宅します。
中には、家庭の都合で登校しない児童もいますが、できる限り登校してほしいと思います。
理由は2つあります。
1つは、学校に行くことで気持ちがリセットできることです。
長い夏休みですが、途中に出校日があれば、その日は少し緊張感を持つことができます。
それが夏休み中ずっと休み続けていると、夏休み明けに気持ちを切り替えるのは極めて難しく、スムーズに2学期に入ることができません。
いつまでも休み気分が抜けずに、ボーッとした学校生活をしばらく続けなければならなくなります。
2つ目は、子どもに逃げる機会を与えてしまうことです。
義務教育である以上、学校へ行くことは何よりも優先してほしいものです。
しかし、親が、
まぁ出校日くらい行かなくてもいい
という考えを子どもに教えてしまうと、いざという時に、
まぁ今日くらいサボってもいいか
という甘えが子どもに生まれてしまいます。
厳しいことを言うようですが、体調不良以外には学校は行かなければならないものだと教えることは大切なことだと思います。
2学期からの不登校等に要注意
夏休み明けの2学期は、不登校が増えることをご存じでしょうか。
理由として考えられる一つに、夏休み中の生活の乱れによる体や心のバランス低下が挙げられます。
生活リズムや乱れは、知らず知らずのうちに心や体を蝕んでいきます。
大事なことは生活リズムを崩さないことです。
そのためには、学校がある時と比べて、寝る時間はいつもと同じ、寝坊しても1時間以内のズレに抑えるようにしましょう。
それ以上生活を変えてしまうと、元に戻すのに何か月もかかってしまいます。
無理やり起こすのは簡単ですが、ボーッとした状態で授業を受けることになり、集中できません。
まさかうちの子が不登校なんて
と安心せずに、いい生活リズムを続けましょう。
まとめ
夏休みは、子どもにとって一大イベントです。
でも、いい夏休みだと感じるか、何をしていたのか全く思い出せないような夏休みだと感じるかは、各家庭でずいぶん違います。
まずは、子どもと無理のない計画を立てるところから始めて、親子で有意義な夏休みにしたいですね。
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